Japanese classes SE London and Online
34 Sunderland Road, Forest Hill SE23 2QA

A-Level Japanese Information
イギリスのAレベル試験と日本語
Aレベル日本語は難易度が高く試験は複雑。受けるかどうかを含めて最良のプランは人それぞれです。日本語教室にAレベルクラスができて3年目になったので運営しながら調べたり講師の先生に聞いたことがお役に立てばと思います。内容はイギリス在住の受験者向けです。
日本語Aレベル概要
Aレベルとは
イギリスで高校相当の教育を修了したことを証明する資格。General Certificate of Education(GCE)の中のAdvanced Level Qualifications の通称。試験の得点によって教科ごとにA*・A・B・Cといった成績が与えられます。
セカンダリースクールの後の進路
6th Form /シックスフォームと呼ばれるタイプの学校に進学する人が多いです。シックスフォームは16〜18才の大学志望者にAレベルやIBのコースを提供する学校。役割的には日本の進学高校に似ており、Y12-13の2年間です。シックスフォームの形態はセカンダリースクールに併設されていたり独自の教育機関だったりさまざまです。シックスフォーム以外のカレッジに進学する人もいます。パフォーマンス系、クリエイティブ系、職業の資格が取れるなど個性的なカレッジでAレベルや同等の勉強ができる学校もあります。
大学進学とAレベル
大学から合格(オファー)をもらうためには通常3教科のAレベル試験を受け、志望大学・学部(コース)の合格条件を満たす成績を取る必要があります。大学進学に有効な資格はAレベルの他にIBなどもあります。このページはAレベル情報のみです。
Aレベルで日本語を選択したい
Aレベルでは3-4教科を選択して勉強し、2年目の夏に試験を受けます。教科の種類は幅広く、日本語を選択することもできますが、受験者が少ないため学校の中で日本語を学べるところは英国内に少数しかありません。学校外で勉強する人が多いです。Aレベル日本語のグループレッスンの情報はmixbやGoogle検索、個人レッスンの先生探しはJapan Foundation UKのチューターリストがおすすめです。また、日本語を選択することがAレベル全体の中でどのような意味を持つのかはAレベルの教科の選び方をご参照ください。
試験はいつ?
2025年のAレベル日本語の日程は5月20日・6月3日・6月12日。試験は3回あります。公式情報も必ずご確認ください。
市販教材はある?
Aレベル日本語は教育出版社の総合対策教材はありません。過去問(パストペーパー)や、個人の先生が提供している教材の一部がネットで見られます。
パストペーパー
Pearson Edexcelのサイトから入手できます。最新年度の問題だけは非公開で鍵がかかっています。
パストペーパー以外の教材
日本語の先生が運営している貴重なウェブサイト。Aレベルの自由研究・文学・映画の教材がダウンロードできます。
読み物や漢字教材などが紹介されています。GCEはAレベルの正式名称General Certificate of Educationの略称です。
日本語Aレベル教材のうちASやA2と書いてあるものは少し前のものです。ASは1年目終了時相当、A2は2年目終了時相当の内容。AS/A2時代の教材は現在の学習にも役立ちます。ただし、試験詳細や漢字の内容は現在のAレベル試験になるまでに何度か変更されています。古い教材は主に漢字の基礎学習などに。読解・リスニング・作文はPearson Edexcelの近年のパストペーパーを活用するのがおすすめです。
どこで試験を受ける?
所属している学校でAレベル日本語を受けられたら理想的。学校外で勉強して試験だけ校内で受けたい人のことを個人受験/Private Candidateといい、学校にPrivate Candidateとして受けられるか問い合わせます。Aレベル日本語はGCSEと違いスピーキング試験がありません。学校がスピーキング試験官を探す手間がないため、その点を説明すれば在学生の受験を引き受けてくれる可能性が高いです。断られた場合はA Levelの試験会場を探します。
試験の費用
学校でAレベル日本語を受験できる場合は費用も負担してくれると思いますがご確認ください。学校外の試験会場は£300ぐらいで申し込みが遅いと高くなります。
試験での辞書の使用
辞書や資料の持ち込みはできません。
スピーキング試験
Aレベル日本語にスピーキング試験はありません。
AS試験
日本語にはAS試験はありません。ASはY12の終わりに受ける試験。昔はY12で受けるASとY13で受けるA2という2段階の試験の合計でAレベルの成績が与えられていました。
Aレベル日本語の申し込み
Y12が始まったらすぐに学校に意思を伝えます。
Y13で日本語Aレベルを受ける人
Y13の秋にUCASアプリケーションを行う時に他の教科と一緒に日本語試験を入力します。UCASの入力は受験者自身が行うので家庭で把握しづらいですが、これを行なっていれば日本語の申し込みができたということだと思います。
UCASとはUniversities and Colleges Admissions Serviceの略でイギリスで大学進学申し込み窓口になるオンラインサービス。大学やコースの選択、パーソナルステートメント、学生ローンなど膨大な情報を受験生が入力。Aレベルの教科を入力するのはeducationという項目です。
Y12で日本語Aレベルを受ける人は?
学校で受ける人は了承をもらえたら後は試験日にテストを受けるだけだと思います。詳しくは学校に聞いてみてください。スピーキング試験がないので最初に了承をもらってから筆記試験の日まで特に何も言われないかもしれません。学校に確認するタイミングは1月半ばに試験の申し込みが済んでいるかを聞き、イースター前に試験の日時(ネットでもわかりますが)と教室を聞くとよいでしょう。
Exam Boardは?
日本語のAレベル試験を提供しているExam Awarding Body/Exam board(イグザムボード:試験委員会)はPearson Edexcelです。学校に聞かれたらPearson Edexcelと答えてください。
イグザムボードとは?
試験問題の作成・採点を行う機関。Pearson Edexcel・AQA・OCRなどがあり、それぞれ微妙に違うカリキュラムとそれに基づいたAレベル試験を提供しています。どのイグザムボードの試験問題を使用するかは学校が決め、教科ごとに異なります。学校は主要教科のイグザムボードは把握していますがマイナーな教科についてはよくわからないので、調べる前にひとまず受験者や保護者に質問してくることがあります。
日本語のグレード予測
Y13で日本語のAレベル試験を受ける人はUCAS の手続きのためにグレードプレディクション(予想の成績/Predicted Grade)が必要です。学校から聞かれる時期はY13の秋。日本語の先生に判定してもらい、学校に報告するのだと思いますがもしかしたら本人が入力するのかもしれません。
Y12の受験者はUCASはまだ行わないのでグレードプレディクションは必要ないと思います。日本語の受験を許可するか判断するために学校に聞かれることはあるかもしれません。
モックテスト
本物のモックテストをすると2時間半の試験を3種類行う時間が必要です。全て行うのは難しいので個人レッスンの先生はパストペーパーを部分的に活用したり、宿題として出すことも多いのではないでしょうか。UCAS のPredicted Gradeを日本語の先生にお願いする場合は何らかの形で行ったモックテストの他に、宿題など提出内容も判定材料になるかもしれません。
家庭学習だけで挑戦できる?
GCSEが8か9で日常的に日本語を使っている人はある程度可能です。A以上を目指す場合は試験内容についてガイダンスを受けたほうがよいです。自習で行う課題が多いため学習中に適切なフィードバックをもらうことも大切です。数回の個人レッスンを検討してはいかがでしょうか。Y13で受ける人はUCASのGrade Predictionを自己申告して良いのか学校に相談を。
GCSEとAレベルはどう違う?
GCSEの日本語は
義務教育の中で学ぶ外国語の一つ。日本の中学で学ぶ英語ぐらいのレベル。スタート時の日本語力が高い生徒さんの場合、成績の予測が比較的しやすいです。スピーキングを含めた4つの試験があります。
Aレベルの日本語は
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リサーチ課題(自由研究)が含まれます。テーマを事前に選び、授業やネットの記事などで知識を得ることが必要で日本語力だけではなく準備の質が成績に直結します。試験では調べた内容に言及しながら作文を書きます。試験問題は毎年異なるので覚えていることだけを書くわけではありません。
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お子さん自身がレッスン外で進める部分が大きいです。日本語にどれだけ時間をかけ、課題を遂行できるかは先生にも予測できません。スタート地点の日本語力がやや低くても自主勉強ができ、先生の指導をしっかり活かせる人は良い成績につながります。
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作文は求められる文法表現を使うことが重要です。ネイティブ話者が読んで上手だと感じる作文でも、試験の求める内容からずれていると高得点にならない傾向はGCSEよりも厳しいです。
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スピーキング試験はありません。
GCSEを受けていないが可能?
Aレベルの教科選択はGCSEが6(学校によっては7)以上であることが一般的な基準です。学校で授業を受けないPrivate Candidateは良い成績が期待できる場合はGCSEは受けていなくても許可してもらえると思います。一般の試験センターで受験する場合は費用を払えば誰でも受けられると思います。
2026年夏からの変更
質問文の言語が一部の問題で日本語から英語に変わります。受験者の負担を減らす目的で、英語が第一言語の受験者は楽になります。相対的には成績にあまり影響がなく、受けたい年度を決めるポイントになるほどの変更ではないと思います。
Aレベル日本語の廃止を回避
以前にAレベルの外国語の選択科目を縮小する動きがあり日本語も廃止になる予定でした。幸い、継続を望む先生方の署名活動により廃止の危機を免れました。詳しい記事はこちら。
Aレベルの教科選択
基本情報
Aレベルは通常、3教科を選びます。中には4教科選択する人もいます。試験まで4教科の勉強を続ける人、途中で自分に合っている3教科に絞る人がいます。GCSE修了時にAレベルの教科選択を行います。大学で学びたいことに合った教科を選ぶのが良いのですが、Y11の時点でそこまで考えられる人は多くはありません。好き・得意な教科を中心に決めます。
3教科の例
大学申し込みの時はAレベルで勉強している3教科に合う大学・コースを探します。Entry Requirement(リクワイアメント)と呼ばれる合格条件にAレベルでの必須教科が記載されている場合があります。Aレベルの教科選択の時に将来興味が出るかもしれないコースを仮定していくつかの大学を検索すると参考になります。2024/25年度の例です。
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シェフィールド大学 航空宇宙工学コース
AAA (Mathsと科学系1教科必須)
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ヨーク大学 心理学コース
AAA (理数系から1教科必須、できれば2教科)
指定以外の教科は自由に選べます。Aレベル3教科に全く指定がない大学やコースもあります。GCSEの成績について記載があるケースも。
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サリー大学 メディア&コミュニケーション
ABB-BBB (Aレベル教科指定なし。GCSE英語・数学4以上)
日本語を3教科の中に含める
Aレベル3教科に日本語を含めることは可能です。ただし、心配な点もあります。
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ネイティブなので大学に選択を認めてもらえないかもしれない
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ネイティブなので高成績でも大学への印象が弱いかもしれない
申し込む大学全てに確認が必要です。ネイティブの外国語Aレベルに関して明記している大学もあります。
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マンチェスター大学 哲学コース
ABB(文系理系20教科ほどの中から1教科必須) 2024/25年度
We accept native language A Levels providing they are taken in the same sitting as your other subjects. We will not accept the combination of Mathematics, Further Mathematics and a native language.
大学にOKと言われた場合も日本語Aレベルの勉強は難しいので緊張すると思います。でも、それが最良と決まったらぜひがんばってください。
4教科の例
Aレベルを4教科以上受験した場合について説明がある入学条件を挙げます。2024/25年度の例です。
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バース大学 社会学コース
AAA (指定無し)もしくはABBB(MathsかStatisticsは必須)
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ケンブリッジ大学 美術史コース
A*A*A or over (指定は無くお勧め教科として紹介)
History・ History of Art ・ English (language or literature) ・Languages・Art & Design・ Mathematics
リクワイアメントにこのような説明がない大学も多く、日本語を4教科目に入れたらどんなアドバンテージがあるのかは大学とコース、成績によって異なると思います。また、ネイティブの外国語Aレベルが有効かどうか大学に問い合わせる必要があります。
日本語を選択する強み
例えば入学条件BBBの大学があったとします。試験結果がBBCの人は条件に満たなかったので不合格(実際には大学の判断、各年度の応募者状況で違います)になったとします。この時に日本語を4教科目に受けていたらどうなるでしょうか。BBC+日本語がCの人はオファーをもらえるチャンスがあるかもしれません。BBC+日本語がBだったら総合でBBBなので合格になるのではないでしょうか。ネイティブの日本語受験が認められていれば最初から3教科に含めることもできます。入学条件にAが入るような大学でも同様のことがあると考えられます。過去の生徒たちには日本語以外の成績や進路について聞く機会がないため、これは私の想像です。
Aレベル日本語を学ぶ人は少ないながらも毎年一定数いるので受験に有利になるケースがそれなりにあるのだと思います。ぜひ大学にお問い合わせください。
一方で、大学受験者の大多数は3教科で申し込むのが現実です。各教科の勉強が本当に大変だからです。4教科目の日本語は大学受験に有利だからというだけでなく日本語を学びたいというモチベーションがある人が選択しています。
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Aレベル各教科の勉強は大変
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Aレベル日本語の勉強も大変
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4教科目に日本語を勉強すると選択肢が広がったり合格チャンスが増える可能性あり
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日本語を途中で中止しても他に3教科あるならAレベル受験にはあまり影響がない
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日本語にそこまで自信がない場合3教科に入れることは慎重な検討を
がんばってください。
UCASポイントとグレード
大学受験の申し込みは英国でUCAS Applicationと呼ばれます。UCASではAレベルの成績はABC式でグレード判定されます。その他にUCASポイント(Tariff Point)という数字にも換算されます。Aレベル以外の大学受験方法もあるためポイント制度で統一されているようです。
UCASポイント
A *56 A 48 B 40 C 32 D 24 E 16
通常の3教科に加えて日本語Aレベル試験を受けたらUCASポイントが上がると考えられますが、Aレベル受験者の場合は大学が一番に見る成績はメイン3教科のABC判定です。例えば、C4つの人やC2つ+B2つの人は、B3つの人よりUCASポイントが高いですが、入学条件がBBBの場合はBが3つ必要です。B2つ+C2つの人にはもしかしたらBBBに近い総合力があると見てもらえるかもしれません。でもそれはUCASポイントというより成績に対する判断だと言われています。もちろんUCASポイントが重要な場合もあると思います。
他のコミュニティ言語の受験生の例:
ネイティブだからアラビア語ならAかBが取れそうだけど・・・(Reddit)
AS試験
昔のAレベル試験制度では1年目の終わりにAS、2年目の終わりにA2という段階的な試験があり、その合計に成績が与えられていました。現在は2年目の終わりにAレベル試験を受ける制度に変わっていますが、1年目終了時のAS試験の存在自体は残っており(日本語は完全になくなりました)、学校の方針によりASを受ける人もいます。ASを受けるとその結果はUCASポイントになります。特にY12で4教科以上選択し、後から絞り込みを行いたい受験生は1年で中止する教科のASでポイントを得ることができます。ただし2年間学ぶ教科に関しては現在のASはAレベルの結果の一部にはなりません。そのため、多くの学校ではAS試験が行われていません。
ASは大学受験を有利にするものに見えるかもしれませんが、Aレベルは3教科の成績を最大に伸ばすことにまず重点が置かれます。2年学ぶ教科の場合はASは成績判定上は不要なため授業進行を中断してまで試験を実施することはないと学校が判断するのは自然だと思います。
日本語Aレベルの心配・質問
保護者の方のご心配
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勉強はどのぐらい大変か
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大変さに見合う結果が得られるか
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他の教科に集中したほうがよいか
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GCSEは9。準備1年でY12で受けられるか
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Y13で受けたいが他の教科と両立できるか
このような質問をいただいた時にお伝えしている内容をまとめました。Aレベルに興味を持つほどモチベーションがあるのは素晴らしいです。少しでもご心配を軽くし、お子さんの挑戦を見守るお手伝いができれば幸いです。
勉強時間
学校でAレベル日本語を選択できる場合は週に6時間程度の授業を受けます。学校外で勉強する場合、学習時間はネイティブ受験者でもレッスンと自主学習を合わせて週3時間ぐらい必要です。週1日程度のレッスン受ける人でもリサーチ課題や文学の分析課題はレッスン外で行うことが多いからです。
大変さに見合う結果が得られるか
始める前の参考になるものを考えてみました。
GCSEの成績を基にした目安
5=C、6=B、7=A、8&9=A*
ネットで見つかる情報では以上のようになっています。日本語は学校で6時間勉強する教科と同じように考えるわけにはいかないので、この目安のまま信じてしまうと楽観的だと思います。8/9だった人でも必ずA*になるとは言えません。
私の独断による目安
GCSE 7→Aレベル目標 DからB (2年間)
GCSE 8→Aレベル目標 CからB (1年間)BからA(2年間)
GCSE 9→Aレベル目標 BからA (1年間)AからA*(2年間)
以上は週1の日本語レッスンを受け、課題にしっかり取り組んだ場合です。本人の熱意と努力などによりこの基準より上または下になることもあります。
優秀なネイティブ受験者が多い教科なので成績を意識しすぎると気持ちが苦しくなります。大学受験の一般的な感覚としてAはすばらしい成績、Bもよい成績です。
他の教科の勉強時間が減る心配
始めてみるまでわからないことですから不安だと思います。そこで、Y12の学校の試験時期を節目にするのはどうでしょうか。学校で大きな試験があった後でお子さんに「日本語をこなせる余裕や計画性があったか」「スクールレポートをもらった時に日本語が悪影響だと思ったか」など、判断してもらうことをおすすめします。
Y12で受けるか迷う
Y12の夏に試験を受ける場合、Aレベル試験の申し込みは締切が2月です。1年で準備したい場合はこのスケジュールに合わせて1月ごろレビューを行って決めるのはどうでしょう。逆に言えば秋から12月までは悩まずに勉強に集中したほうがいいです。軌道に乗れたら、そのままがんばって夏まで行けると考えていいと思います。
冬休み明けになっても不安があるようでしたら2年対策への切り替えをおすすめします。2年目にもっと不安になってやめ、貴重な時間が無駄になってしまう可能性を1年目からお子さんが心配している場合や、他の教科との両立がプレッシャーになる場合はAレベル日本語を続けるのは難しいかもしれません。
Y12で終えておくとよい点はY13のときに他の教科に集中できること。また、大学から仮オファーをもらった後に志望校を2校に絞る段階があるのですが、この時点で日本語の結果が出ている人は多少の検討材料になるかもしれません。
Y13で受けたいが他教科と両立できるか
2年間のAレベル日本語準備が必要で、お子さんが挑戦したい場合はぜひがんばってみてください。学校のポリシーで日本語をY12で受けることができず、Y13で日本語含め4教科の試験を受ける受験生はいます。計画性や学習習慣が必要ですが、決して誰もやらないことではありません。
私の教室のAレベル受験生の学年
Y13: 2024年1名・2025年1名・2026年3名
Y12: 2023年1名・2024年 1名・2025年2名
Y12の2月ごろ、Aレベル目的ではない日本語コースに移ったり1年計画から2年計画へ変更する人がいましたが、Y13になってからAレベル日本語を中止した人はいませんでした。
A*を目指すための準備期間
かなり特別な存在ですが、1年間の学習でA*を獲得する人はいます(GCSEは9)。私の教室で1年対策で受け入れできる生徒さんはB以上を目指せそうな人で、数ヶ月後にAを目標にできるか手応えがわかってきます。短期間のレッスンと提出物で測れることには限界があり、日本語力が高い生徒さんでもA*を取れるかまでを予測するのは難しいです。受験生には自分を信じてがんばってもらいます。
また、日本語が好きで、1年で終えるより2年、可能な場合はそれ以上勉強している受験者もいます。結果的にA*につながりやすいですが、GCSEは9で2年以上勉強してA*には届かないというケースもあります。お子さんの個性と教科の深い部分の相性や当日の体調、運も影響します。
お子さんがのんびりしている
最初の2ヶ月ぐらいは自然な学習の様子を見てみるのもおすすめです。予め時期を決めておいて日本語の先生に面談をお願いするのはどうでしょうか。その時に宿題とレッスンでの様子を聞き、そのままで目標に届きそうか客観的にお子さんに伝えてもらう機会になります。私の教室では先生はターム中、毎週のレッスンと宿題・課題のフィードバックに集中しています。また、お子さんは現地校の勉強や試験などもあります。お互いの忙しい時期が過ぎたタームの終わりごろに必要に応じて面談を提供しています。
作文を見て心配になった
日本語Aレベルの採点基準は受験者以外に簡単に説明できない内容であり、ネイティブ話者が読んで不自然な文でも満点近いこともあります。高得点になるポイントは他の部分にあるからです。先生は優先順位をつけながら指導していることでしょう。他の教科と同じような気持ちでお子さん自身に任されたことだとお考えいただくのがよいと思います。
試験の内容
試験の構成
試験は3回。成績は合計点に対して与えられます。全体に占める配分によって1点の重みが調整されます。GCSE日本語と違い、1回の試験に読解・作文・リスニング・トランスレーションからさまざまな内容が組み合わされてます。
Paper 1 2hs 30 min 40%
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Section A: Translation into English (20 marks)
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Section B: Reading (20 marks)
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Section C: Writing (research question) (40 marks)
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ポイント: Section C - 事前の「自由研究」をふまえた作文
Paper 2 2hs 40 min 30%
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Section A: Translation into Japanese (20 marks)
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Section B: Written response to works (literary texts) (45 marks)
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Section C: Written response to works (literary texts or films) (45 marks)
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ポイント: Section B/C - 事前の 文学・映画の学習内容をふまえた作文
Paper 3 2hs 15 min 30%
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Section A: Listening comprehension (30 marks)
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Section B: Listening, reading and writing questions (30 marks)
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ポイント: Section B - オーディオと文章で与えられる情報をまとめ、意見を書く
対策のポイント
私の教室ではPaper1の自由研究とPaper2 の文学・映画分析の対策から優先的に取り組みます。
Paper1の自由研究とは
試験では生徒が自由研究(リサーチ)を行ったテーマに関連した読み物が用意されています。それを読み、事前に行ったリサーチの内容を踏まえて600~700字程度の作文を書きます。自由研究のテーマは4つの中から生徒が選びます。
(例) テーマ1: 「 家族関係や人間関係につき、3点について調べる」
3つのポイント:伝統的な家族構成・核家族・家庭内の人間関係
試験の時はこの3点に言及しながら設問への答えをエッセイにまとめます。
自由研究のルールと進め方
受験者自身が行うように決められています。他者のアドバイスを受けてはいけないことになっており、先生が事前に指導できる内容も一定までです。具体的な資料を与えることはできません。先生は受験者が調べてきた内容に対するフィードバックを行うことで指導します。
Teachers must not:
• teach the content of the research subjects to students or provide sources.
Students must:
• initiate and conduct their own research, and develop their research skills when investigating their research subject.
If malpractice is found to have taken place, a penalty may be applied dependent on the circumstances and severity of the malpractice. For full details on malpractice, please see the section entitled Malpractice and the JCQ document Suspected Malpractice in Examinations and Assessments 2016-17.
(Pearson Edexcelの資料より引用)
家庭でのサポート(自由研究)
ルールがあるためリサーチの手つだいは控えてください。リサーチ中の疑問を受験者自身が先生に質問するよう促していただくと良いと思います。
Paper 2 文学と映画の分析
事前にレッスンで学んだ内容を踏まえながら、当日見る試験問題に答えて600-700字程度の作文を書きます。課題となる作品は選択の中から受験生と先生で選びます。
文学の課題:「どんどん読めるいろいろな話」(全部)「キッチン」(「キッチン」1のみ)「窓際のトットちゃん」(全部)の中から1冊か2冊選んで勉強します。
映画の課題:「千と千尋の神隠し」「ディア・ドクター」「誰も知らない」の中から、文学が1つの場合のみ1つ選びます。
試験問題の例
キッチン (吉本ばなな)
(a) 桜井みかげが人のために料理を作ってあげることには、どんな意味がありますか。説明しなさい。
Explain what the significance is of Mikage Sakurai cooking for others.
OR
(b) 吉本ばななは、「キッチン」の中で、社会から外れた人の立場をどのように表現していますか。考察して、あなたの意見を述べなさい。
Examine how Banana Yoshimoto portrays people who are outside of mainstream society in "Kitchen".
Pearson Edexcel Sample Assessment Material issue 2 July 2024
ご家庭でのサポート(文学と映画)
課題の本を一緒に読んで話したり、映画を観たりしていただくことができます。お子さんがAレベルで学んだことを教えてくれる場合は考えをまとめるよい練習になります。
漢字
GCSE 200字 + Aレベル 400字
読める漢字を増やすことを優先しながら勉強し、作文で書く漢字は書き練習もしておきましょう。
漢字リソース:Japan Foundation UK A-Level Resources (A Level = AS+A2)
文法と語彙
Aレベルで学ぶべき文法や語彙はPearson Edexcel Specificationに指定されています。高得点の作文には必要な知識であり、レッスンの中で習得します。